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cxzas

2018年07月16日

薔薇の花が天か

「プラテーロと私」の「アンジェラスの鐘」の章に、「何とたくさんの薔薇がそこかしこに降り注いでいるのだろう」という一文があるが、まさにそこに描かれているような美しい夕焼け酵素…色とりどりの薔薇の花が天から降り注いでくるような神々しい夕焼けを海岸で見た。ちょうどアンジェラスの鐘が鳴る夕方の6時頃から日没が始まり、言葉では言い表せないような様々な光の色が溶け合って空を彩っていった。光の色は時間の経過と共に微妙に変化していく。竜の形をした金色の夕焼雲が、赤々と燃える火を口から噴いていた。そして、辺りが薄暗くなるに連れてその輝きは増していった。竜の上には真っ白いイルカも泳いでいる。海面には神秘的な深いオレンジ色が映し出され、揺れる波間できらきらと輝いていた。この美しくドラマチックな光の儀式に畏敬を感じた。この光は、時空を超え激光脫毛、全世界をあまねく照らし、私たち皆の心も照らしてくれているに違いない。空には、金星がいつの間にか、優しい柔らかな光を放ちながら私たちを見下ろしていた。


「ねぇ、プラテーロ、アンジェラスの鐘が鳴っていると、外側の世界は日常の力を失い、内側からの、もっと崇高で揺るぎない、純粋な光である別の力が働いて買日本樓、神の恩寵が現れでもするように、全てが星のいるのところまで引き上げられていくような気がするよ…もっともっとたくさんの薔薇と一緒に輝いている星たちのところだよ。空をゆっくりと仰ぎ見る君の瞳も、君自身は見えないだろうが、二つの美しい薔薇の花なんだ。」(フアン・ラモン・ヒメネス著「プラテーロと私」第10章「アンジェラスの鐘」より)

  


Posted by cxzas at 15:52Comments(0)

2018年07月16日

薄さをもたざる

陳舜臣『神戸ものがたり』では海軍営の設置に始まる神戸の町の発展、魅力について語られたエッセイ集です。

「異人館地帯」の章では、明治以降急速に進んだ欧化の背景をもとにした神戸的モダニズムについて述べています。
<西欧文化の浸透には段階があった。しかし神戸の町には、居留地のなかに「西欧」が忽然と出現した。一般の民衆から隔離された居留地のなかに、それがとじこめられているうちはまだよかったが、雑居地域に指定されたところ、とくに山本通りから北野町にかけて、またしても「西欧の町」が、すっぽりとはめこまれたのである。>
 イギリスのノーベル賞作家キップリングには、「神戸はあの忌まわしいアメリカ的な外観だ」と酷評されたものの、英字新聞には「東洋で最も美しく、よく設計された居留地」と称賛されています。

明治11年のC.B.バーナードによる忽然と出現した居留地の絵がありました。中央には西欧風の街にそぐわない籠かきの姿が描かれており、居留地の出現に当時の人々はどれほど驚いたことでしょう。

現在も残っている旧居留地の異人館は、ただ一軒TOOTH TOOTH maison15thというレストランとなっている15番館です。

 内外人の雑居が認められた異人館地帯では強烈なエキゾチズムとモダニズムが放射されていました。
<それは夢の世界に似ていた。異なる風土に、むりやり移植された、つくりものといったかんじもするのではないか。まだ、じゅうぶんには根付いていなかったのだ。手をかけて、ひきはがすことができそうな気さえする。苔むした庭石、煤けた壁、くろずんだ柱をもつ日本の家々にくらべると、異人館はガラスとセルロイドでできたおもちゃ、もしくは張り紙細工のように思えた。>


明治中期の山本通りと諏訪山。
北野町3丁目あたりの風景ですが、田畑の中に突然現れた異人館です。

<そうした背景をもつモダニズムは、必然的に一緒の薄さをもたざるをえなかった。が、同時に、あやしいまでに幻想的でもあった。薄さそのものが、ロマンだったからともいえよう。>
陳舜臣が述べているように大正時代の神戸の町を幻想的に捉えて数々の作品を発表したのが稲垣足穂でした。次回は『星を造る人』について。  


Posted by cxzas at 15:39Comments(0)